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罠の見回りをAIとSORACOMで減らす Pescle Liteの狙い

罠の見回りをAIとSORACOMで減らす Pescle Liteの狙いのイメージ

本ページは公開情報を整理した業界レポートであり、特定の事業者・機器・薬剤の推奨ではありません。

ニュースの概要

RYODENは、害虫や害獣への対策に使うAIトラップ遠隔監視システム「Pescle Lite」の通信基盤に、ソラコムのIoT通信サービス「SORACOM」を採用したと発表した。箱罠などの捕獲装置に小型カメラと携帯回線の通信機器を取り付け、撮影した画像を独自の検知AIが解析して、罠の状態が変わったことを知らせる仕組みである。担当者は異常が起きた場所をWeb画面で確認でき、通知も受け取れる。これまで中心だった「決まった時間に罠を見て回る」運用から、「知らせが来た罠に向かう」運用へ切り替えられる点が特徴だ。

引用元: RYODEN、AI搭載トラップ遠隔監視システム「Pescle Lite」にSORACOMを採用(PR TIMES / Infoseek)

分析・見解

見回りの回数より、行く価値のある一回を増やす

箱罠の管理で一番重いのは、捕獲の有無にかかわらず毎日現場へ足を運ぶ負担である。山間部では片道30分以上かかる場所も珍しくない。しかも空振りの日が大半を占める。Pescle Liteは、この空振りの巡回を減らし、捕獲があった罠にだけ向かえる状態をつくる。

もう一つ大きいのは、捕獲後の放置時間が短くなることだ。罠にかかった動物は時間がたつほど暴れて弱り、作業する人の危険も増す。早く気づけること自体が、動物にも人にも安全面の利点になる。

通信にSORACOMを選んだ意味は小さくない

獣害の現場は電波の弱い山林や農地が多く、Wi-Fiも電源も当てにできない。そこで携帯回線の通信を使い、少量のデータを繰り返し送る方式が現実的になる。SORACOMは、回線の契約や管理、通信量の確認を一つの画面でまとめて扱えるIoT向けサービスである。数十台から数百台の罠を持つ自治体や猟友会にとって、SIMカード(=通信用のICカード)を一枚ずつ管理しなくてよい点は運用の手間を大きく減らす。

装置そのものより、通信の維持管理が導入後の悩みになりやすい。大手の通信基盤を使うことで、その悩みを先に片づけた形といえる。

検知AIの精度が、現場の信頼を左右する

遠隔監視で厄介なのは、風で揺れる草や小動物による誤報である。誤報が続くと、担当者は通知を見なくなる。いわゆる「オオカミ少年」の状態だ。逆に見逃しがあれば、システム全体への信頼が一気に落ちる。

似た例が、農業用ハウスの温度監視にある。センサーが普及した当初は、警報が鳴りすぎて切られる事例が多かった。現場に受け入れられたのは、数値を細かく出すより、動くべき時だけ知らせる設計に変えた製品だった。Pescle Liteが狙う「罠の状態変化」だけを知らせる方式は、この教訓に沿っている。

野生動物管理がデータで動き始める

画像と位置と時刻が自動で残れば、どの場所で何がいつ捕れたかが蓄積される。これは、被害対策の計画を立てる際の貴重な材料になる。経験者の勘に頼ってきた罠の置き場所を、データで見直せる。

担い手の高齢化が進む中で、ベテランの判断を記録として次の世代へ渡せる点は、見回りの省力化以上に長く効いてくる可能性がある。

ビジネスへの影響

導入判断は台数と移動距離で決まる

費用対効果は、管理する罠の数と、一回の見回りにかかる移動時間で大まかに見積もれる。たとえば10台の罠を毎日巡回し、往復で2時間かかる地域なら、年間で700時間を超える移動が発生する。通信費や機器代がこれを下回るなら、導入の価値は高い。逆に、罠が少なく徒歩数分で全部回れる場所では、効果は限られる。

まず被害が多く、見回りが一番つらい数か所から試すのが現実的だ。

試験導入で確認したい三つの点

一つ目は、電波の入り具合である。設置予定地で実際に通信できるかを、貸出機などで確かめたい。二つ目は、誤報の頻度だ。一か月ほど運用し、通知が現場の役に立つ水準かを記録する。三つ目は、電源の持ちである。バッテリーの交換頻度が多いと、見回りを減らした効果が相殺される。

この三点を数字で残しておけば、自治体の予算申請や補助金の説明にも使いやすい。

自治体や企業が見落としやすい運用面

機器を入れても、通知を受ける人と、受けてから動く手順が決まっていなければ意味がない。夜間や休日に誰が対応するのかを先に決めておく。捕獲後の処理を担う人の確保も、同時に進めたい。システムは早く知らせてくれるが、現場で動くのは人である。

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