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クビアカツヤカミキリ対策に政府が予備費32億円 桜と果樹を守るために問われる次の一手

クビアカツヤカミキリ対策に政府が予備費32億円 桜と果樹を守るために問われる次の一手のイメージ

本ページは公開情報を整理した業界レポートであり、特定の事業者・機器・薬剤の推奨ではありません。

ニュースの概要

政府は、特定外来生物のクビアカツヤカミキリの防除対策として、予備費から32億円を支出することを閣議決定した。この虫は中国などが原産のカミキリムシで、サクラやモモ、ウメといったバラ科の樹木の幹に幼虫が入り込み、内部を食べて木を弱らせる。国内では2012年に愛知県で初めて確認され、その後は関東や関西などへ生息域が広がってきた。公園や河川敷の桜並木、果樹園で枯死が相次ぎ、自治体の独自予算だけでは対応が追いつかない状況が続いていた。今回の支出は、国が前面に出て被害の拡大を抑える姿勢を示した形である。

引用元: クビアカツヤカミキリ防除に32億円 政府、予備費支出を閣議決定(日本経済新聞)

分析・見解

32億円の投入は自治体任せからの転換点になる

予備費とは、災害のように予測しにくい支出に備えて、あらかじめ確保しておくお金のことだ。通常の予算編成を待たずに使えるため、今回の決定には緊急性の高さがにじむ。クビアカツヤカミキリは2018年に特定外来生物へ指定された。ただ、指定後も駆除の実務は、主に自治体と樹木の所有者が担ってきた。

サクラの大木では、伐採と処分だけで数十万円かかることもある。並木が数百本あれば、小さな自治体の財布では持たない。国費が入ることで、費用を理由に後回しにされてきた地域にも手が届く可能性が出てきた。

幼虫が木の内部にいるため見つけにくい

この虫が厄介なのは、被害の大半が木の内部で進むことだ。卵は樹皮の割れ目に産みつけられる。ふ化した幼虫は幹の中へ潜り、1〜3年ほどかけて育つ。外から分かる兆候は、根元に積もる木くずとフンの混合物(=フラス)くらいである。見た目が元気な木でも、中はすでに空洞に近いことがある。

成虫は初夏から夏にかけて現れる。雌は一生のうちに数百個以上の卵を産むとされる。つまり、被害木を放置すれば、その木が翌年の発生源になる。成虫自身の飛ぶ距離は限られるが、幼虫が入ったままの薪や剪定枝が運ばれると、一気に遠方へ飛び火する。

薬剤と伐採と監視をどう組み合わせるか

対策の柱は三つ考えられる。一つ目は、幹に薬剤を注入したりネットで巻いたりして、成虫の脱出と産卵を防ぐこと。二つ目は、被害の進んだ木を伐採し、チップ化や焼却で幼虫ごと処分すること。三つ目は、早期発見のための監視である。

参考になるのが、マツ枯れやナラ枯れの経験だ。どちらも数十年かけて広がり、完全な根絶には至っていない。「出てから叩く」では間に合わない点が共通する。クビアカツヤカミキリは分布がまだ限られており、広がり切る前に封じ込められる最後の時期かもしれない。

お金の次に問われる人手と継続性

ただし、予算は単年度で、幼虫は何年も木の中にいる。一度の駆除で終わらず、数年の追跡調査が要る。作業を担う造園業者や樹木医の数にも限りがある。お金が付いても、人が足りなければ使い切れない。住民からの通報を集める仕組みを育てられるかが、成否を分けるだろう。

私が注目するのは、この32億円を駆除費だけでなく、情報の整備費としても使えるかどうかだ。被害木の位置を地図にし、毎年更新する。そうした地味な土台があって、はじめて薬剤も伐採も効率よく回る。

ビジネスへの影響

果樹園や緑地管理者が今すぐ見直す点検の習慣

モモ、ウメ、スモモ、サクラなど、バラ科の木を持つ事業者は、まず根元を見る習慣をつけたい。木くずとフンの混ざった塊が落ちていれば、幼虫がいる疑いが強い。月に一度、写真付きで記録しておけば、発見時期の証拠にもなり、自治体への相談もしやすい。一社だけで抱え込まず、同業者や近隣の農家と情報を共有すると、地域全体の発見が早まる。

造園業者や工場、学校、公園の管理者は、剪定枝の扱いにも注意が要る。発生地域の枝や薪を、そのまま別の地域へ運ばない。運ぶ場合は、シートで覆うか、現地でチップにする。善意の持ち出しが拡散の原因になるのが、この虫の怖さである。

補助金の窓口確認と住民への説明準備

国の予備費は、通常、都道府県や市町村を通じて現場に届く。事業者が直接受け取れるとは限らない。使い道の詳細は今後の運用で決まるため、まず所在地の自治体や農林担当の窓口に、対象や申請時期を問い合わせておくとよい。

もう一つ備えたいのが、住民や利用者への説明である。桜の並木を伐採する場合、反発が出やすい。被害の写真、放置した場合の倒木の危険、植え替えの計画を、先に一枚の資料にまとめておく。観光や花見の行事を抱える施設は、代替の見どころも用意したい。倒木で事故が起これば、管理責任を問われかねない。早めの点検と記録は、費用ではなく保険と考えるべきだ。

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