ニュースの概要
韓国の食品工場向けに防虫と衛生の管理を手がけるCatchersが、BRCGS Global Partner Networkに防虫サービス事業者として加わった。同社によれば、韓国の同業者では初めてという。BRCGSは食品安全の国際規格を運営する団体で、規格の審査では有害生物の管理が重要な評価項目に入る。Catchersはこの参画により、海外の取引先が求める水準への対応力を高める考えだ。同社は独自のデジタル監視機器Glintor INSIGHTを使い、生産区域での害虫の動きを把握する仕組みを持つ。紙の巡回記録に頼らず、データで管理状況を示せる点が強みになる。
引用元: 韓国Catchers、食品工場向け防虫管理でBRCGS国際ネットワークに参画(Asia Business Daily)
分析・見解
防虫は「捕る」仕事から「示す」仕事に変わった
BRCGSは英国発の食品安全規格で、海外の大手小売や外食チェーンが取引条件に挙げることが多い。審査では有害生物の管理が重要な評価項目になる。見られるのは「虫がいないこと」そのものではない。侵入を防ぎ、見つけ、記録し、原因をつぶす流れが回っているかどうかだ。
FSSC 22000など他の規格でも防虫は欠かせない項目であり、この点は共通する。今回のCatchersの動きは、その流れを担う防虫業者にも、国際基準を理解した運用力が求められる段階に入ったことを示している。
紙の点検表では見えない、発生の予兆をつかむ
従来の防虫管理は、業者が月に数回巡回し、粘着トラップやネズミ用の捕獲箱を確認して紙に書く方式が中心だった。弱点は、点検と点検の間が空白になることだ。週末にネズミが入っても、次の巡回まで誰も気づかない。
Catchersが使うGlintor INSIGHTのようなデジタル監視機器は、生産区域の害虫活動を継続的に把握する。数字が時系列で残れば、搬入口付近だけ反応が多い、梅雨時に特定の棟で増える、といった傾向が見える。傾向が見えれば、扉を開けている時間を短くする、排水溝の清掃を増やすなど、原因に直接手を打てる。巡回回数を増やすより、常時見るほうが合理的な場面もある。
韓国の同業初という肩書きが持つ市場での重み
韓国は菓子、即席麺、キムチ、冷凍食品などの輸出が伸びてきた国である。輸出先の買い手は、工場監査で国際規格への適合を確認したがる。防虫業者がBRCGSの枠組みに入っていれば、工場側は「規格を理解した事業者に任せている」と説明しやすくなる。
ただし「初」は優劣の証明ではなく、先に入ったという事実にすぎない。価値は、審査の現場で指摘を減らせるかどうかで決まる。日本でも2021年6月にHACCP(=危害要因を事前に洗い出す衛生管理)に沿った管理が原則すべての食品事業者に義務化され、記録を残す文化が広がった。防虫も同じ道をたどるはずだ。
機器を入れても、現場が動かなければ数字は飾りになる
最大の限界は、データと是正の間にある。警報が増えすぎれば現場は慣れてしまい、本当に危ない兆候を見逃す。隙間の封鎖や清掃、資材の置き方といった地味な作業が回らなければ、グラフは改善しない。
ここで独自の視点を挙げたい。防虫記録は、工場の健康診断の経年記録に近い。業者を替えるたびに記録が途切れると、傾向分析の価値が落ちる。データを誰がどの形式で持つのか。ここが今後の契約で争点になるだろう。
ビジネスへの影響
防虫業者を選ぶときに確認したい三つの点
防虫の委託先を選ぶ基準は、価格と巡回回数だけでは足りなくなってきた。まず確認したいのは、報告書が国際規格の審査を想定した形式になっているかだ。報告書の書式は、審査員が見る資料そのものになるため軽く見られない。次に、機器のデータを工場がいつでも取り出せるか。契約を終えたあとも過去分を受け取れるか。三つ目は、異常が出たときの連絡の速さと、原因への提案があるかだ。
機器を入れると月々の費用は増える。ただし比較すべきは、製品回収や出荷停止、取引先の監査での不適合が起きた場合の損失だ。巡回回数を増やす代わりに常時監視へ切り替えれば、総額が釣り合うこともある。見積もりは両案で取り、三年程度の総額で比べるとよい。
小さく始めて、取引先への説明材料にする
中小工場が全域に機器を置く必要はない。まず搬入口、原料保管庫、包装室の三か所から始め、三か月ほどデータを集める。導入前に現在の捕獲数を月ごとにまとめておくと、効果の比較がしやすい。社内に窓口の責任者を一人置き、警報が出たら誰が何時間以内に動くかを決めておく。
取引先から監査を受ける際、傾向グラフと是正の記録を一緒に出せると説得力が増す。何が見つかり、いつ、誰が何をしたかを一枚にまとめる習慣が有効だ。日本の工場でも、輸出向けや大手小売向けの取引が増えるほど、同じ水準が求められる。防虫業者側も、国際規格への対応を営業上の強みとして示す動きが広がるだろう。
